この記事の内容
目次
・情報をそのまま信用しない
・情報の確か「らしさ」を見極める
・一次情報かどうか
・緊急性があるか
ネットリテラシーとは、インターネット上の情報を正しく理解し、それを適切に判断、運用できる能力のことである。
インターネットは便利さとともに危険をも人類にもたらした。その中でも生活の中で最も身近な危険といえば、SNSや情報サイトなどで出回る「ウソ情報」であろう。昨今では「フェイクニュース」などといった呼び方もされている。
私も教員時代、生徒が起こす多くのネットトラブルに対応してきた。ウソ情報によるトラブルは、子どもたちにとっても非常に身近で危険な存在なのだ。今回はそうしたウソの情報の危険性と情報の見極め方をまとめる。
情報をそのまま信用しない
【まずは疑ってみる】
過去、情報を引き出す際には書籍などから時間をかけて調べることが主流であった。しかし現代では、インターネットでキーワードを検索するだけで多くの情報を引き出すことが出来る。
だが、なかには誰が書いたかもわからない情報が多くある事も知っておかなくてはならない。インターネットで得た情報をそのまま信じてはならないということだ。
昨今では、大学の卒業論文やレポートを作成する際に、ウィキペディアを出典として利用してくる学生がいると、知己の大学教授が嘆いていた。
ウィキペディアなどの情報サイトは、参考にする分には非常に便利であるが、だれでも記載編集ができてしまう。研究や論文の出典として使えるほどの信頼性は無いのだ。
【衝動的に行動しない】
なにか面白い情報をネットで見つけたとしよう。その情報をすぐさま友人や知り合いに広めたいと考えたとする。しかし、ネットに情報をアップする前にひと呼吸おいてほしい。
それが嘘の情報だったら?と考えてほしいのだ。もしもウソであれば、あなたはウソ情報を拡散した悪者になってしまうかもしれない。真実の情報なのかどうかを判断してからでも遅くはない。
【むやみに広めない】
情報を広める際、注意したいのは「断定して広めない」ということだ。疑わしい情報を、「〇〇は〇〇だ!」というふうに断定して広めてしまうと、それを見た人が信じてしまいやすく、ウソ情報だった際の被害が大きくなってしまう。
なるべくならば「〇〇という情報があるます。私は信じてびっくりしました!」というように、情報源と自分はこうであるという感想を添えることで、見る側に判断の機会を設けるとよい。
情報の確か「らしさ」を見極める
【発信者はだれか】
インターネット上には、無限とも思える情報が存在する。その中でどのようにその情報の真実らしさを見極めるのか。その方法の一つに「情報の発信者を確認する」ということが挙げられる。
だれが、どのような経緯で発進した情報なのかを知ることで、その情報の信憑性はグンと上がる。
例えば、「A君は万引きをしたらしいよ!」という精度のあいまいな情報が出回ったとする。ネットリテラシーの低い人がこの情報を受け取り、すぐさま拡散すれば、これがウソ情報だった際の被害は大きい。A君の社会的被害も計り知れないだろう。
正しい対応は、「その情報はどこから聞いたの?」と確認することだ。つまり発信者を確認するのだ。この発信者が信頼に足る人物や団体、例えば「警察」や「学校」といった責任ある立場の情報であれば、ほぼ真実の情報と信じても良いだろう。しかし、「誰だかわからないけど、うわさで…」とか「隣のクラスの〇〇くん」といった程度の発信源であれば、まだ真実と断定することはできないことがわかる。この例ではネットでも対面の噂話でも同様だ。
ネット情報の発信源として信頼性が高いのは「社会的に認められた組織、団体」次いで「実名や顔をしっかりと出している人物」だ。
これは、その発信者には責任が追及できるからである。間違った情報を流せば、責められる可能性や社会的信用を落とす可能性があるため、非常に慎重に情報を出す必要が出てくる。
逆に信頼性が低いのは「発信者が誰だかわからない」そして「顔も名前もわからない人物」だ。
その理由は簡単だ。「責任を全く負わない」からだ。ウソだとわかっても誰の言葉かわからないのだから、追及のしようがないため、ウソかもしれない情報を簡単に公開してしまえるのだ。ただし、犯罪行為となる情報の拡散は、警察が捜査にのりだせば、簡単にその発信者は特定できることを忘れてはならない。
【複数の発信源を確認する】
不安が拭えない情報があれば、複数の情報源を確認するのが効果的だ。例えば、ネットで見つけた記事であれば、新聞やテレビ、またはほかのウェブサイトといった媒体で同じ情報が公開されているようであれば、情報の確からしさは高まる。
一次情報かどうか
【引用であれば元情報を確認する】
リテラシーの高い情報であれば、その引用元が記載されているケースが多い。そのため、その情報を受けとる側は引用元を確認することで、その情報の確からしさを確認することができる。
【知らずのうちに犯罪を犯しているケースも】
フェイクニュースをそのまま真に受け、引用をつけずに拡散してしまうと、あなた自身がウソ情報の発信元とされてしまう事もある。
過去の例でいえば、「〇〇銀行がつぶれるらしい。」という情報を聞いたAという人物が、その真意を確かめずにその情報を拡散したために、その銀行を利用する多くの利用者が預金を引き出したため、銀行に多大な被害をもたらしてしまった。結果その情報はウソと分かったが、知らずとはいえ情報を拡散したAさんは信用棄損で書類送検されることとなった。
緊急性があるか
【緊急時こそ冷静に】
緊急事態にはウソ情報が流れやすい傾向がある。例えば、2016年熊本地震の際には、ライオンが逃げ出して街を歩いているという情報が出回った。このウソ情報の発信者は神奈川県の男性で、「悪ふざけだった」と供述しているが、災害時にデマを流して業務を妨害したとして逮捕されてた。
【緊急時のフェイク情報は大迷惑】
緊急時には、救助を求める発信もされるため、様々な情報が錯綜するが、ウソ情報を拡散してしまっては、本当に大事な情報が伝わらない。
緊急時にこそ冷静な判断が求められるのだ。
※参考資料
『フェイクニュースの見破り方』文溪堂:池上彰監修
『最新社会と情報 新訂版』実教出版
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